呼吸(いき)するように愛してる
私、匠くんのベッドに横になって、そのまま寝ちゃったんだ!匠くんが帰ってきているって事は……私、どんだけお昼寝したの!?

……んで……今さらながら、匠くんが近い!

私は匠くんのベッドに、横向きで寝ていて、匠くんは、私と向かい合ってベッドに横になっている。

状況を理解したとたん、私の鼓動がどんどん早くなる。

私の心臓のドキドキが、匠くんに聞こえちゃう……

冷や汗をかいていたはずが、一気に体温が上がる。

私の吐息も匠くんに届いてしまいそうで、息をつめて匠くんを見つめる。

……この状況、なんとかしなきゃ……!

「たく……」

私が、ようやく口を開いた時、匠くんの大きな手が私の頭を包むようにして引き寄せる。

匠くんは、さらに顔を近付ける。

私を引き寄せた匠くんの掌に、たいして力は入っていなかったと思う。でも、わずかに近付いただけで、唇と唇が触れあってしまう程、私と匠くんの距離は近かった。

突然の出来事に、何の抵抗もできず私は固まる。

唇が軽く触れては離れて、それが何度か繰り返され、だんだんと濃いものになっていく。

匠くんの舌が、私の上唇と下唇をそれぞれなぞった時、私は堪らなくなって、薄く唇を開いて、ハッと小さく息を吐いた。

まるでその時を待っていたかのように、匠くんの舌が、私の口内にスルッと入ってきた。

うっすらと開けていた目を、私は静かに閉じた。

私の口内の形を確かめるように、ゆっくりと匠くんの舌がなぞっていく。

私の舌を見つけると、匠くんの舌で絡めとった。

優しく丁寧に、それでいて有無を言わせぬように、私の舌は撫でられる。

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