呼吸(いき)するように愛してる
「っ!」

私は恥ずかしさで目を逸らした。なぜ、このタイミング~!?

匠くんはプッ!と吹き出した。

「美羽、晩ご飯食べに行こう!俺も腹減った!」

それまでの空気が一変して、匠くんが笑いを含んだ声で言った。

「……行く!」

恥ずかしいけど、これはこれでよかったって事にしよう!

時刻は十九時を過ぎていて、私、どんだけ昼寝したんだよ!て感じ。

一度自宅に戻って、着替えと軽くメイクをする。

それから、匠くんの車で出かけた。

匠くんが働く銀行の近くにある、定食屋さんに連れていってくれた。

こちらも、夫婦二人が営むこじんまりとしたお店だった。

カフェの夫婦は三十代くらいかな?こちらの定食屋さんの夫婦は、六十代くらい?

ベテラン夫婦な分、味と落ち着きを感じた。

いいなぁ~、どちらのご夫婦もすてき!……私も匠くんと、こんな夫婦になりたいな……なんて考え、飛躍しすぎ!と自分に突っ込んだ。

匠くんは『竜田揚げ定食』、私は『天ぷら定食』を注文した。

同じタイミングで届いた定食は、どちらもカラッと揚がっておいしそう!食べてみれば、見た目よりさらにおいしかった!

実は、私は揚げ物が苦手だ。火が通ってないのが心配で、つい揚げすぎて固くなってしまう。

匠くんからもらった竜田揚げは、外はカラッと揚がり、中からはお肉のジューシーさが溢れてきた。

「おいしい!!」

「だろ?うまいよな!」

幸せそうにお肉を頬張る匠くんを見て、お料理、もっと精進しよう!と決めた。

定食に付いていた切り干し大根の煮物や、お漬け物も全部おいしくて大満足だ。

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