呼吸(いき)するように愛してる
ここ数日、精いっぱい全身を磨いてきたつもり。女の子は、ホントに大変!……でも、好きな人の為だと思ったらがんばっちゃう!

髪を洗って、身体を洗う。

バラの香りの入浴剤を入れたお湯に、ゆっくりと浸かれば、少しだけ気持ちが落ち着く。

お風呂から上がったら、スキンケアをして、いつも使っているボディローションを、いつもよりたっぷりつける。

お気に入りの下着を身に付けて。

淡いピンクに同色のレース。でも、レースは控えめで、それが大人っぽく見える。

ランジェリーショップで、一目惚れして買ったけど、お気に入りすぎて、今までクローゼットにしまいこんでいた。

がんばりすぎるのも変だから、普通に部屋着のカットソーのワンピースを着る。

自室で、いつも通りの軽いメイク。

いつも通りに適当にポニーテールにして……

思いっきり気を遣いながら、『いつも通り』を心がけている自分がおかしくなる。

「よしっ!!」

鏡を見て、自分に気合いを入れる。

カレーの入った鍋や、サラダの入ったボウルを匠くん家に運ぶ。

お米を研いで、炊飯器にタイマーをセットする。

スマホを見ると、まだ十五時半過ぎ。匠くんからのメッセージもない。

昨夜、緊張してなかなか眠れなかったけど、朝は、いつも通り目覚めた。お休みなのに。

何もせずにいると、これからの事をいろいろ考えてしまうか、眠くなってしまうか。どちらも避けたい。

お掃除をしよう!

まずは、お風呂掃除。匠くん一人だと、シャワーだけで済ませてしまうようだ。

寒い時期ではないけど……湯船にのんびり浸かるとそれだけで癒されるから、匠くんにも浸からせてあげたいな……

お風呂掃除は、思ったよりもすぐに終わってしまった。

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