呼吸(いき)するように愛してる
激しい鼓動を抑えるように、右手を胸に当て匠くんに近付く。

匠くんの目の前で立ち止まり、思わず俯いた。

「美羽?」

「・・・いてください……」

「ん?」

両手を匠くんの身体に回し、匠くんの素肌に頬を寄せる。

匠くんが、息を呑んだ気がした。

「私、心も身体も匠くんを受け入れる準備、できてるよ。…匠くんがあんなキスをするから、私、自分自身がコントロールできなくなって……あのキスの先、ちゃんと匠くんが教えて。だから……」

顔を上げて、目を見開いたままの匠くんを見つめた。

「だから、抱いて……」

それから先の言葉は、匠くんの唇に吸い込まれていった。

いきなり舌が口内に入ってくる、深く激しいキス。その激しさに、私は全然ついていけずされるがままだ。

舐められ、吸われ、噛まれ……私の舌も唇も、麻痺したようにただ甘く痺れた。

ようやく匠くんの唇が離れ、ギュッ!と抱きしめられた。

「美羽は初めてだから、焦らないように自分を抑えていたのに……なんで煽るような事、言うんだよっ!」

匠くんの余裕のない声。匠くんの心臓が、私に負けないくらいドキドキしているのを感じる。

私は右手で匠くんの胸を軽く押して、顔を上げた。匠くんの表情が見たかった。

「うん。抑えなくてもいいから、全部教えて」

「っっ!!……」

匠くんの顔が赤くなって、天井を見上げるようにして目を閉じた。

「だから、なんで……!」

余裕がないように感じたのは、気のせい……?そう思ってしまう程、次に私を見下ろした匠くんは、雰囲気が変わっていた。

「もう、止められないよ?美羽……」

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