呼吸(いき)するように愛してる
匠くんの唇、舌、指、掌、吐息……全てに翻弄される。

自分でもあまり触れた事のない場所に触れられ、初めての感覚を知る。

この前、この部屋でキスした時。あの時の感覚なんて、ほんの序ノ口だったんだ……

羞恥心を感じていられたのは、最初だけ。自分のものだとは思えない甘い声が恥ずかしくて、右手で口元を押さえた。

すぐに匠くんに外される。

「やっ!たく……」

「美羽の声、聞かせて。興奮する」

耳元で掠れた声で囁かれたら、何も言えない。それさえにも、肌が粟立つから。潤んだ瞳で匠くんを見上げる。

匠くんも、気持ちいい?私と同じくらい、感じてる?

流れのままワンピースを脱がされる。

「美羽、きれいだ……」

すごく恥ずかしい!……でも、匠くんに見られていると思うと、それだけではなくなっていく。

「匠くんも、すてき……」

適度に筋肉のついた、腕に触れる。フッと笑った匠くんが、ゆっくりと唇を重ねてくる。そのまま唇が、甘い刺激を残しながら移動していく。

そして、下着も脱がされた。思わず両手で隠そうとするが、やっぱり匠くんに手を押さえられた。

「美羽の全てを見せて」

匠くんも何も身に付けていなかった。

初めてだから、よくわからないけど……

匠くんは、ゆっくりと時間をかけて、全身を愛撫してくれた。私より私の身体を、知ってしまったと思う。

恥ずかしさとか、初めて事への怖さとか、不安とか。私の中から消えてしまうものではない。

でも……匠くんから与えられる感覚だけを追いかけ、甘い声を漏らしていた。

「はぁ……」

匠くんが、ベッドから離れてすぐに戻ってきた。

その時に、匠くんの全身が見えた。……大人になってから、初めて見た。子どもの時に見たのなんて、覚えていない。

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