呼吸(いき)するように愛してる
あっ、あれが、本当に私の中に入ってくるの……?

心臓がドキドキしてきた。これまでとは、違うドキドキ。どうしよう……少し、怖い……

ここにきて、ほんの少し冷静になってしまった。

「美羽、挿入るよ」

そんな事に気をとられていたら、匠くんが囁いた。私は小さく頷いた。

両足が開かれ、その間に匠くんが身体を入れる。私は、目を閉じた。

大丈夫……

私の濡れた部分に、匠くんの熱く硬いものが当てられた。

思わず身体が強ばったかもしれない。

「いっっ!!痛っ!!」

それが、ゆっくりと挿入られた時、感じた事のない痛みに、声を上げてしまった。

すぐにそれの動きが止まる。

「美羽、大丈夫?」

不安そうな匠くんの声に、私はコクコクと頷いた。

「大丈夫だから、続けて……」

「無理しないで」

私の狭い中を、ゆっくりと押し拓くように進む。

「っっ!!」

私は唇を噛みしめて、痛みに耐える。掴んだシーツを握りしめた。

「っ!……美羽……もう少し、力を抜いて」

匠くんの少し苦しそうな声がしたが、私はフルフルと首を横に振った。

「わからない!……力を…入れてるつもりはないの」

それだけを、やっと口にする。

「美羽……目を開けて」

それまでと違う匠くんの静かな声に、思いっきり閉じていた瞼を開く。

匠くんは右手で私の頬を撫でながら、私を見つめて言った。

「美羽、今日はここまでにしようか?…辛いなら、ゆっくり慣らしていけばいいんだから……」

匠くんは、薄く笑っているけど、何だか辛そうに見えた。

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