呼吸(いき)するように愛してる
匠くんも、辛いのかな……?そう思ったら、少しだけ身体の強ばりが緩んだ。フ~ッとゆっくり息を吐いた。

「十一才の私は、オトコの顔をした匠くんが怖かった」

「っ!美羽……」

匠くんが、わずかに目を見開いた。

「十六才の私だったら、『痛い~!』て大泣きをして、匠くんを困らせたと思う。……でも、今の私は二十歳だよ。もう、大人のオンナだから……匠くんを、ちゃんと受け入れられる!…ちゃんと、最後まで愛して!」

息が上がりそうになりながら、私の想いを必死に伝えた。

右手を伸ばして、匠くんの頬を撫でた。ドクン!と、私の中の匠くんが、また大きくなった気がした。

私の中が匠くんで満たされていく……今は身体の痛みが強いけど、心は満たされている。

「…わかった。もう、止めないよ」

匠くんの色香が、また少し強くなったように感じた。

匠くんが、優しくキスしてくれる。唇の表面を舐め、スルリと口内に入ってきた。私の舌を優しく撫で、あやされているみたいだ。

キスに応えている間に、私の身体の力がどんどん抜けていく。そうすると、痛みも少し和らぐ。

少し下がった体温が、再び急上昇する。シーツを握りしめていた両手を、匠くんの首に回した時、匠くんに一気に貫かれた。

「っっ!!」

強い痛みに、大きく背中が反った。

「全部、挿入ったから。……大丈夫?」

唇が離れた匠くんの、目を見て頷く。

私の目尻から流れていた涙を、匠くんが舐めとる。

「美羽の中は、あったかい……このまま溶けそうだ」

「匠くん……」

匠くんの甘い吐息混じりの囁きに、私も吐息混じりで返す。

匠くんは私を抱きしめながら、顔中のいろんな所にキスしたり、背中や頭を撫でてくれた。

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