呼吸(いき)するように愛してる
しばらくして、痛みが遠のいている事に気付いた。すると、私の中の匠くんを強く感じて、身体が震えた。

「……美羽、動くよ。……俺も、限界」

そう言って、ゆっくりと動き始めた。

そこからは、もう何も考えられなくて……

匠くんと、指を絡ませるように組む。名前をうわ言のように、何度も呼んだ。匠くんに与えられるものを受け止め、私の身体もそれに応えるようになる。

「美羽、愛してる……」

匠くんも、何度もそう囁いてくれた。その声に、だんだん余裕がなくなり、律動が早くなる。

「美羽っ!」

掠れた声でそう呼ばれた後、私の中の匠くんがビクン!と大きく動いた。匠くんの動きが止まり、ギュッ!と抱きしめられた。私も匠くんにしがみついた。

少しして、私の中から匠くんが出ていく。なんとなく寂しく感じて、それが恥ずかしかった。

私の隣に、肘を付いて横になった匠くん。汗で顔に張りついた髪の毛を、優しく避けてくれる。

「美羽、身体、大丈夫?辛くない?」

「うん、大丈夫!」

そう言って、匠くんの身体にピタッとくっついた。素肌が触れあうのが、こんなに安心するなんて!全然、知らなかった。

今なら、みちるちゃんの言葉、ちゃんと理解できるよ。

『ものすごく恥ずかしかった。ものすごく痛かった。……だけど、それまでで一番幸せだった!』

本当に、その通りだ。

「……美羽、あまり煽ると、“次”が始まるよ」

えっ!?それは、さすがに無理!もう限界!目を見開いて、声を発しようとした時……

「グゥ~!」

「「っ!」」

私のお腹が、またもや盛大に鳴った。

「わかった、わかった!美羽の身体はもう限界なんだな」

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