呼吸(いき)するように愛してる
美羽との初対面は、俺が七才の時。美羽が生まれた産婦人科医院に、母さん、兄貴、俺の三人でお見舞に行った。

生まれてから、まだ三日くらいしか経っていない美羽は、俺達がお見舞に行った時、ちょうど苑子さんに抱かれていた。

医院の入り口でアルコール消毒をし、美羽達がいる個室でも、そこの洗面所でハンドソープをたっぷりつけて、ゴシゴシ手を洗った。

苑子さんに抱かれている美羽に、そっと近付いた。

丸くって、ちっちゃくて、柔らかそうな美羽。なんだかピカピカして見えた。

「美しい羽って書いて『美羽(みう)』ちゃんていうんだよ」

と、昨日、母さんが教えてくれた。

背中に、本当に羽がありそうだ……

「「ちっちゃ~い!かわいい!」」

兄貴と二人、ベッドの脇に並んで美羽を見つめた。

「触っていい?」

兄貴が訊くと「どうぞ」と、苑子さんがニッコリ笑った。

「そう~っと触るのよ」

後ろから母さんに注意を受けながら、俺と兄貴は小さな小さな美羽に、そっと触れた。

美羽の頬は、本当に柔らかくてスベスベだった。

こんなに小さい指なのに、ちゃんと爪がある!そんな当たり前の事に驚き、感動していた。

緩く握られていた美羽の手に、なんとなく自分の人差し指を入れてみた。

思いの外、ギュッ!と強く握られ、びっくりして美羽を見た。

美羽の無垢な表情は、特に変わった事もなかった。

「抱っこしてみる?」

苑子さんに言われて、俺と兄貴は無言で頷いた。

母さんの手を借りながら、最初に兄貴、次に俺が美羽を抱っこした。

美羽はフワフワで、身体まで柔らかかった。こんなに小さくて可愛いのに、重さはちゃんと感じた。

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