呼吸(いき)するように愛してる
美羽は、生きてる。こんなに愛らしくても、人形なんかじゃないんだ……そんな事を思っていた。

今から思えば……この時、俺はもう美羽に掴まれていたんだ。指だけじゃなく、心まで──



ある事件があってから、俺と兄貴はよく朝倉家でお世話になっていた。それは、美羽が生まれてからも変わらなくて……

「赤ちゃんのお世話は大変!産後の苑子の身体も心配!」と、母さんは断ったんだけど。

苑子さんと、手伝いに来ていた苑子さんのお母さんにうまくのせられて、以前と変わらずなんとなく、朝倉家で過ごすようになっていた。

「要くんも匠くんも、まだ大人に甘えていいんだよ!しっかりと甘えたら、自分が大人になった時、上手に甘えさせてあげられるんだから!」

苑子さんのお母さん…おばあちゃんに、何度かそう言われた。笑うと目尻にシワができて、それがすごく優しく見えるおばあちゃんだった。

“お礼”という訳でもないが、兄貴と二人、美羽のお世話を手伝った。

沐浴、オムツ替え、ミルクを飲ませる……いろんな事を手伝った。

「あら、要くんも匠くんも上手!美羽ちゃんが喜んでるね!」

誉め上手な苑子さんとおばあちゃんにのせられて、美羽が可愛くて、手伝っているうちに本当に上手になったと思う。

俺はずっと、妹か弟がほしかった。保育園からずっと一緒だった友達、光太郎に弟妹がいて、それを見ると妹の方が可愛いかな、と思っていた。

だから、母さんと仲のいいお隣の苑子さんに赤ちゃんができて、それが女の子だと聞いた時は、自分に妹ができるみたいで、本当に嬉しかった。

妹が生まれるとわかっているのに、さらにわがままになった美音の気持ちが、全然わからなかった。

母さん達に話をされる度に、恥ずかしい思いをするのだが……

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