呼吸(いき)するように愛してる
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悪夢を……甘すぎる悪夢を、度々みるようになった。

自分自身を嫌悪し、さらに美羽を避けるようにした。

だが……美羽を避ければ避ける程、俺の中の妄想が膨らむように、夢の中の俺の行為はエスカレートしていくようだった。

それでも、終わりはいつも同じだ。夢の中で閉じていた目を開ければ、ランドセルを背負った美羽が涙を溢れさせている。

激しい自己嫌悪、正直すぎる身体……自分の心も身体も、もて余していた。

もしかしたら、俺は『ロリコン』なのか……?

ネットや書店で、こっそりそういう映像やマンガを見てみる。……別に何も感じない。というより、美羽よりも小さな子のものなんて、かなりせつない。わかってるのか?わかってないよな……なんて。

悪夢をみている俺の言う事じゃないか。

次の可能性として……もしかして、“同性”に興味があるのか?とか。……美羽は“美少年”に見える時もあるから。

これも同じく、ネットや書店でチェックしてみたが……思ったよりダメージを受けた。俺は間違いなく“ストレート”だ。

……という事は……わかっていた事といえば、そうなんだが。

『美羽』なんだ。俺は、美羽だけに反応しているんだ。……そりゃ、そうか……

きちんと確認してしまった事で、逃げ場がなくなった。いつか、ランドセルを背負った美羽を、本当に押し倒してしまうかもしれない……そんな恐怖を感じるようになった。

離れよう……美羽に、すぐに手が届かない所に離れよう!

高校三年生になってすぐに、第一志望の大学を変えた。

それまでは、兄貴が行った専門学校の近くの大学だったけど。片道車で三時間は近すぎる。

もっと、遠くへ行かなければ……

急に志望の大学を変えた事を、両親は怪訝な顔をしながらも受け入れてくれた。

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