呼吸(いき)するように愛してる
お姉ちゃんも、来年受験で、その高校が第一志望だそうだ。

お姉ちゃんも、お勉強得意だもんね。

理由は…訊かないでおこう。

……ちなみに、美里さんも同じ高校だそうだ。ともママが、ニコニコしながら教えてくれた。

美里さん、きれいで、お勉強も得意なのか……

高校生になって、ますます匠くんと会えなくなった。部活は、中学同様バスケット部だ。

『文武(部)両道』を目指しているとかで、進学校でも、わりと部活も熱心にしているんだそうだ。


再び、時は流れ──

私は小学四年生、匠くんは高校二年生。

それまでの生活と、大きくは変わらない。

ただ私の心は、少しだけ成長したのかも。身体は、相変わらず小さいままだけど……

たまに見かける匠くんは、高校生になって、ますます大きくなった。身長は、いつ頃からか要お兄ちゃんと変わらなくなり、“兄弟”というより“双子”みたいな感じ。高校生になって、とうとう追い越しちゃったようだ。

……その、身体もだけど、雰囲気というか、見た目というか……『大人の男の人』ぽく見える時がある。

そして、久しぶりに見かけた美里さんは……

初めて会った時にポニーテールだった髪は、下ろされていた。

『大人の女の人』に見えた──

私と匠くんの“差”は、広がる一方で、匠くんの『特別』は美里さんで、『特別』な人は一人だけ、だよね……

以前より、ツキンと胸が痛む事が増えた。やっぱり「匠くん、大好き!」は、言えないままで。

この気持ちは、もう匠くんに伝えてはいけないと、感じるようになっていた。

小学四年生の初夏、プールの授業が始まる前に、髪の毛を短く切った。

それまでは、いつも肩より長くて、ツインテールにしていた。

「プールの授業の後、なかなか乾かないから!」

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