【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「あの、実は……っ、その彼は同じ学校……」
「ソレ、よこせ」
「えっ……!?」
玲央が同じ学校だということを告げる前に遮断された。
「こんくらい気にせず食えばいいだろ?さっきからちまちま食ってんなら、俺によこせ」
酷く無機質だった瞳は本当は優しいことを知る。
「いや、轟先輩はこんな甘いもの。せめてクリームの少ない苺を……」
躊躇うあたしの、苺がささるフォークを持った手を掴んで自分の口へと運ぶ。
されるがまま……あたしの熱を持った手首は轟先輩に抵抗出来ず。
「甘過ぎだ」
ふっ、と怒ったみたいな顔で笑った。
胸が途端に高鳴りを増し唖然としているあたしに、轟先輩は「食ったら帰るぞ」と声を落としたのだった。