【完】好きなんだからしょうがないだろ?



物悲しいヒグラシが懸命に鳴いている。


あれから、「もう勘弁してやってくれ」と、声をひそめて告げた轟先輩に無言で手を引かれ、地に貼りついた足をやっと動かせたと思う……。



「女ってのは、よく泣く生き物だな?」



うっ……。

あたしは堪らず肩をすくめる。



アパートのそばで停めたバイクに寄りかかり、轟先輩は腕を組むと短い溜め息を一つ……。



「……すびませんっ。本当に、嫌なことに巻き込んでしまって、ほんとに……」



まさか、あんなことになるなんて夢にも思ってなくって。



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