【完】好きなんだからしょうがないだろ?
・誘惑プリンスはバニラの香り
ヒィッ……!!
背後から冷たく笑う声が突き刺さって、あたしは恐る恐る振り向いた。
「っ、……し、四ノ宮 玲央」
最悪だ……。
あたしの顔はぷるぷる震えていたのか、それがそんなにおかしいのか、バカにしたようにふっと息を漏らした。
「お前、なんで逃げたんだよ?」
「はい?いや、そもそも、逃げるなんて、なんのことですか……?」
しらを切るあたしに、四ノ宮 玲央は涼しげな表情を浮かべて距離を詰める。