【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「こういう時は、素直に甘えた方が可愛げがあるんじゃねぇの?」
「……っ」
耳元で低く囁いた。
素直じゃないことばかりが口をついて出るあたしを、まるで挑発しているように、意地悪に。
「離してよ……」
あれ……?
なんであたしこんなに顔が熱いの……?
「さっきの威勢はどこいったんだ?」
「ん?」なんて、唇を寄せてからかってくる。
「れ、玲央……」
「空き巣がうろついてるってのに、みすみすお前を帰すわけねぇだろ?」
そう言ってあたしの耳元から唇を離す。
バカみたいだ。
大嫌いな玲央のことを、乱暴な口ぶりの言葉で、一瞬でも優しいなんて思って……。