【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「そんなこと言わないでったら……っ、玲央のこと、忘れるって、言ってるでしょ……」
やっと発した声が震えていたのはどうしてだろう。
矛盾してる。
あたしは、忘れることに躍起になってるクセに玲央のそばに自ら来るなんて。
「じゃあ、お前の忘れるって何?」
静寂した殺風景な部屋に玲央の真剣味を帯びた声が響いた。
「そ、それは……」
「オレを、お前の記憶から追い出すこと?それとも」
後ろから腕をまわしてギュッと抱き締める。
「オレに一切反応しないこと?」
耳に口づけを落とすように囁いた。