【完】好きなんだからしょうがないだろ?



「それとも、俺はその理由の一つに過ぎないか」



言いかけて……あたしの呼吸すら奪うように眼光の放つ妖しげな瞳を近づけた。



「試してみるか?」



ドクッ、と。


心臓がおかしくなりそうなくらい飛び上がる。



冷静さなんて当になくしてるあたしは、もう何も言えなくて。



轟先輩は、帝王と呼ばれるくらい怖くて恐れられていて。 


だけど、本当は優しさを持っている人で。



「忘れたいんだろ?」


「……っ」



< 205 / 351 >

この作品をシェア

pagetop