【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「それとも、俺はその理由の一つに過ぎないか」
言いかけて……あたしの呼吸すら奪うように眼光の放つ妖しげな瞳を近づけた。
「試してみるか?」
ドクッ、と。
心臓がおかしくなりそうなくらい飛び上がる。
冷静さなんて当になくしてるあたしは、もう何も言えなくて。
轟先輩は、帝王と呼ばれるくらい怖くて恐れられていて。
だけど、本当は優しさを持っている人で。
「忘れたいんだろ?」
「……っ」