【完】好きなんだからしょうがないだろ?

・苦い記憶のクレームブリュレ



 
胸の奥に何かが絡まってるみたい。


体育祭はもうすぐだ。


頑じ絡めになった想いが交差してほどけない。



「麻白さぁん!」


うわ……。


久々とは言わないけど嫌な声が聞こえてくる。



「今日は一人?成田さんは部活かなぁ」



下駄箱で靴を履き替えるあたしに御木本さんは満面の笑みで現れた。



うん、やっぱり可愛いけど……。



御木本さんの待機場所に認定されている部屋の主のあたしとしては、出来れば今は会いたくなかった。


難を逃れてかまだ一度も待機しに来られたことは奇跡的にないけれど。



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