【完】好きなんだからしょうがないだろ?



「玲央君のこと嫌いなんでしょ?」



次に出た声は氷のように冷たくて。


御木本さんの口元は笑っているけど目は作り物みたいだった。


嫌いと聞かれたら、ここまで来てしまうほど玲央から離れてしまいたくて。


それくらいあたしは大嫌いだったわけで。


でも、今は……。



「渡さないよ」



その棘のある声があたしへと突き刺さる。


学年一可愛いと噂される御木本さんの天使のような笑顔は、そこにはもう欠片も存在しなかった。



< 215 / 351 >

この作品をシェア

pagetop