【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「玲央君のこと嫌いなんでしょ?」
次に出た声は氷のように冷たくて。
御木本さんの口元は笑っているけど目は作り物みたいだった。
嫌いと聞かれたら、ここまで来てしまうほど玲央から離れてしまいたくて。
それくらいあたしは大嫌いだったわけで。
でも、今は……。
「渡さないよ」
その棘のある声があたしへと突き刺さる。
学年一可愛いと噂される御木本さんの天使のような笑顔は、そこにはもう欠片も存在しなかった。