【完】好きなんだからしょうがないだろ?
会話がまるで続かない。
仁科君に妹がいたなんてわたしは知らなかった。
疎外されたも同然の存在だったあたしはきっと、中学の時のクラスメイトの情報はほとんど知らないかもしれない。
「ここ、地元からかなり遠いね」
「うん……電車で三時間くらい」
短い会話が終わってはすぐに沈黙が流れた。
「会いたく……なかったよね?」
声の力が抜けたみたいに仁科君があたしを見た。
出来れば会いたくなかったとは言えずに曖昧な相槌を返す。