【完】好きなんだからしょうがないだろ?
なんのことを話してるかさっぱりわからない。
仁科君は暫し睫毛を伏せるように地面を見つめていた。
「玲央が……ここにいる理由……知ってるの?」
恐る恐る仁科君に問いかける。
静かに目線を上げてあたしを見つめる仁科君の、メガネの奥の瞳が酷く儚げに映った。
「内緒だよ……」
物悲しい表情が揺れる。
聞き取るのが精一杯だった。
眉を下げて笑った仁科君は何も教えてはくれずに、公園から足早に去っていった。