【完】好きなんだからしょうがないだろ?
スタート地点。
その離れた場所にいる玲央を視界に映す。
少し遠いけれど、一際目を惹く存在にみんなの熱に濡れた熱い視線を注がれる。
パンッ、と鳴り響いた合図の音に女の子達の玲央への声援は一斉に向けられた。
チーム対抗も学年争いもあったもんじゃない。
風を誘い揺れるハニーブラウン……。
トクっ、と小さな高鳴りにあたしは一人動揺する。
「すっごい歓声。どう、三葉。あの憎きプリンスと向き合う気になった?」
「り、莉子……」