【完】好きなんだからしょうがないだろ?
歓声が鼓膜を震わせるほど大きくなっていって、クラスの女の子達の悲鳴のような叫び声がして。
誰かの、走ってくる足音と気配が次第に大きくなっていく。
甘いバニラの香りが優しく鼻をなでる。
「な……っ!」
顔を上げると同時に、あたしの視界に飛び込んできたのは。
「三葉、来い!」
ーーードキッ
ずっと聞きたかった声が、空から降ってきた。
名前を呼ぶと、太陽を背にした玲央は肩で息をしていて、そっとあたしへ手を差し伸べる。