【完】好きなんだからしょうがないだろ?



歓声が鼓膜を震わせるほど大きくなっていって、クラスの女の子達の悲鳴のような叫び声がして。


誰かの、走ってくる足音と気配が次第に大きくなっていく。


甘いバニラの香りが優しく鼻をなでる。



「な……っ!」



顔を上げると同時に、あたしの視界に飛び込んできたのは。



「三葉、来い!」



ーーードキッ


ずっと聞きたかった声が、空から降ってきた。


名前を呼ぶと、太陽を背にした玲央は肩で息をしていて、そっとあたしへ手を差し伸べる。



< 237 / 351 >

この作品をシェア

pagetop