【完】好きなんだからしょうがないだろ?



周りに立って見守る女の子達がヒソヒソと話している。



「この高校に、中学の時にすごく足が速くて誰も勝てないって言われた幻の人材がいるらしいよ」



「そうそう。全国出場を懸けた決勝で100メートル10秒台でぶちぎり一位。全国優勝間違いないって、すごい噂だったみたい」



「あぁ、聞いたことある。でもその人、全国大会には出場しなかったみたい。中学最後の夏以来、もう二度と走らないって聞いたんだけど。まあ、理由は誰も知らないらしい」



「その噂なら、その人こう呼ばれてたらしいよ?黒い髪と鋭い瞳が狼みたいで、誰もその人の記録を越えれなくて、確かーーー」



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