【完】好きなんだからしょうがないだろ?



体育祭では色んな気持ちを感じて、それを取りこぼさないように抱えて帰り道を歩く。



「初めて轟先輩を見たのは、中学の陸上部に入ってすぐだった……」



あたしの隣で、泣き腫らした莉子が思い出を辿るように静かに口を開いた。



「まるで、風の如く走るーーそんな轟先輩の姿に目を奪われた。あんな風に走れたらって……隣町の先輩だって、同じ陸上部の人が噂してて。陸上をやってる人なら、知らない人はいないってくらい有名だった……」



ーーー“絶対強者”


轟先輩の圧巻の走りを見たらそれは頷ける。



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