【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「わたし、それからひたすら誰も引き寄せない轟先輩に近づきたくて、夢中になってた……けど、全国大会を控えた直前で足に痛みがあるって漏らして……疲労性骨膜炎ーー練習のしすぎで、初期にちゃんと治さないと今後も影響があるからって。練習は、中断するように医者に言われた……」
「え……、じゃっ、じゃあ……」
「うん。全国大会出場は諦める以外なかった……」
悲しみに満ちた表情が痛々しくて。
過去の傷に触れたみたいに莉子は切なそうに眉を下げた。
それがどれだけ悔しかったか。
諦めることがどれだけ辛かったか。