【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「それから、轟先輩は二度とグラウンドに立つことはなかった……」
その痛みは計り知れない。
夢を諦めるしか出来なかった轟先輩の名は封印されたみたいに。
「わたし、何度も轟先輩にもう一度走ることを諦めないでって言ったんだ。夢を絶たれた先輩は、いつも……諦めたみたいな顔をしてさ……」
「……っ」
莉子の、轟先輩の手を弾いた怒りに満ちた表情が脳裏を巡る。
「許せなくて轟先輩の学校に行ったことがあったんだ。グラウンドからずっと離れた草の上で呑気に寝てて……わたし、走って轟先輩目がけて飛び乗ってやった……!」
「え……!?」