【完】好きなんだからしょうがないだろ?
あたしは肩を震わす莉子の手に手を添える。
強張っていた力がするっと解放されていく。
「莉子……轟先輩は、もう一度グラウンドに戻ってきたよ」
莉子が走り続けていたこと全部ちゃんと轟先輩は見ていたから。
あたしの部屋の前へ来た時に、轟先輩が“見てみたいとは思う”って言っていたんだ。
あたしは“何を?”……そう聞こうとしたけれど。
誰かの姿を視界に映したかった、そういう意味だったんだよ。