【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「三葉、ごめんね?なかなか四ノ宮 玲央のこと言えなくて……」
辺りを警戒している猫のように目をキョロキョロさせる莉子。
「ううん。莉子は気にしてくれてたんだね……」
あたしが四ノ宮 玲央を嫌いなことを。
「だって、あんなことがあったからさ……でも、三葉すごい頑張ったから。だから、もう思い出したくないだろうって」
莉子とは中学の時からの親友だ。
あたしに降りかかった出来事もアイツを除いてはこの高校で唯一知る一人だった。
「もう、あの頃には戻りたくないから……」