【完】好きなんだからしょうがないだろ?
轟先輩は莉子の憧れだ。
あたしは轟先輩が走っていた姿をずっと見てきたわけではないし、部外者のあたしが怒るようなことではない。
ましてや、まともな返しをする術もなくて。
けど、轟先輩をひたむきに待ち続けた莉子の想いまで侮辱することは許せなかった。
「ふぅん」
チェリーをむしゃむしゃ頬張って興味のない返答をした。
「御木本さん、そんなことを話しに来たんじゃないよね……?」
お皿の上のチェリーパイを食べ終えると、“もちろんでしょ?”……と、でも言いた気に。
くりんとした目で棘のある視線を投げる。