【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「ねぇ。だから玲央君のこと嫌いなの?それって、逆恨みってやつだよね……?」
秋の太陽が沈んでいく。
部屋の中には、歪な黒い影が伸びていた。
御木本さんのナチュラルメイクを施した可愛らしい瞳は、作り物でも見ているほど、感情というものが乏しく映る。
「なんで、そのこと……、」
「麻白さん?幼馴染みなんて、どの口が言ってるつもり?恥って、知ってるかな……?」
にんまりと広げる口の端に、能面のような冷笑を滲ませて、高い声を漏らす御木本さんは明確な悪意を伝えてくる。