【完】好きなんだからしょうがないだろ?
サボり……なんて。
もしお姉ちゃんが知ったら手形がめり込むほどひっぱたかれるだろうなぁ。
「偶然ってあるもんだね?」
偶然……?
そんな誰かの声はベンチから動けないあたしの頭上から音もなく唐突聞こえてきた。
「嘘、仁科君……!?」
賢そうな黒ぶちメガネがすぐ視界に映った。
「また会えるとは思わなかった。創立記念日も悪くないな」
言葉通り。
仁科君の高校は創立記念日で今日も単身赴任のお父さんのところへ顔を出しに来たところだったらしい。