【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「ほら、これは体育祭の時の写真でしょ?“麻白は転がった方が速い”って、みんなが笑っちゃうのは無理もないよね?」
マロンクリームの髪があたしのそばでふわふわ揺れる。
見せつけられたのは、きっとカメラマンが撮ったいつかの体育祭のスナップ写真で。
「あと、これも。いいよね……デブって。集合写真なんかでも目立っちゃうから……四ノ宮君は、変わらずカッコいいなあ」
うっとり、と口角が上がる。
足がすくんで、震えてる……。
唇も、手も、指も、全部震えてしまう。
「なんで、写真なんか……」
やっと発した声も、空気みたいだった。
「えっ?何?私は、プリンスファンのみんなに、幼馴染みはこんな女の子だよって、教えたかっただけだよ?」
情報共有は当然でしょ、と……。