【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「麻白さん?アンタなんてね、いくら頑張っても結局、一生変わーーー……」
モノクロに映る世界に、息も出来ないほど苦しくなった、瞬間……。
ピタリ、と。
罵声が、音が、消えたーーー。
突然、温かい手に塞がれたあたしの耳は、悪意に満ちた音が何一つ聞こえなくて。
………けど。
ふわり、と鼻をくすぐる甘いバニラの香り。
目の前にいる御木本さんがあたしの後ろを見て、驚愕のあまり、零れ落ちそうなほど目を見張ってる。
滲んだ視界で、そっと振り返れば……。
「……無理すんなって言ったんだけど?」
眉をしかめた玲音が少し意地悪に、息を漏らして微笑する。