【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「玲央………?」
名前を口にするだけで、こんなにも胸が焦げそうになる。
なんで、なんで、いるの……?
どうして、玲央が………。
声にならない声でそう問いかけてしまいそうで。
逢いたくて堪らなかった玲央が、どうして……。
「泣くなよバカ。抱き締めたくなるだろ?」
「……っ」
困ったみたいに、儚げに笑う玲央。
触れられて気づいたのは、いつの間にかあたしの瞳から溢れおちた涙で、玲央の温かい指先は優しく拭う。
そして、冷酷な瞳で御木本さん達に視線を投げた。
「誰が弱いって?」
静寂に包まれた、悪意しかない空間に、その声が凛と響いた。