【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「コイツ、連れてくから。成田もさっさと陸上バカんとこ帰れよな」
「誰がバカよ!はいはい!どうぞどうぞ」
……と、やけにあっさり。
あたしから離れると、莉子はひらひらと手を振って、この場を去ろうとする。
も、もうちょっとだけ、名残惜しんでくれてもよくない……?
「三葉……!これ、アンタにあげるわ!」
「ぇ、ええっ……!?」
ヒョイっ、と投げられたそれは、手の中にすっぽり収まる白い紙で。
キャッチして、すぐにそれを開こうとしたけれど。
「行くぞ」
グイッと、玲央が手首を掴んで歩き出すから、落とさないように手のひらを握り締めた。