【完】好きなんだからしょうがないだろ?



静かに唇が離れていく。

溶けてしまいそうなほど頬が熱くなる。



「お前が好きだ」


「……っ、」


「お前はいつだってオレの隣で笑ってればいんだよ、バカ……」



あの頃と変わらない優しさはこんなにもそばにあって……。


不機嫌な横顔がほんのりと赤く見えたのは気のせいじゃない……よね?



ドキドキがやけにうるさくて心の中が玲央でいっぱいになる。



「ったく。それにお前、いつまでそんなもん握ってんだよ?」


「え……?」



そういえばさっき莉子に渡された紙はまだ手の中にあるんだった。



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