【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「ちょっと、やめてよっ……!」
「ハァ?久しぶりに会ったからって、随分とよそよそしいんじゃねぇの?」
「っ、アナタなんて……、知りませんから!」
何で、何でアイツがここにいるの……!?
ここは地元から三時間は離れた場所なわけで、アイツがいるなんてことは何かの間違いで……。
しかも、どうして隣の部屋から出てくるわけ?
「ふーん。だったら……」
必死に頭の中を整理しようとしても、疑問符が飛び交うあたしに何かを言いかけると、その男の妖しげに笑う気配を感じた。
お、お願いだから、あたしに気づかないで……!
「…………ギャッ!」
精一杯の抵抗も虚しく、部屋のドアを勢いよく開けられてしまった。