【完】好きなんだからしょうがないだろ?



ヒッ……。



「勝手に全部忘れてんじゃねぇよ」



零した声音は、低く、重くて。


あたしの頭の横に乱暴に手をついて、怒りと切なさが混ざり合ったみたいな顔を近づける。



「勝手にって……っ、アンタの、せいでしょ……?嘘つき!」



何で、玲央が怒ってるの……?


怒りたいのはこっちなのに意味がわからない。



「だったら忘れてみろよ?」



あの頃にはもう戻れないってわかっていながら、その真剣味を帯びた瞳から目が離せなかった。



< 68 / 351 >

この作品をシェア

pagetop