【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「……っ、玲、央……」
一瞬唇が離れたと思ったら呼吸する隙も与えてくれず、あたしの頭の後ろに手を滑りこませて、再び引き寄せる。
「やめて……」
信じられない……。
あたし、キスされたの……?
体温が急速に上昇して頭がぼんやりする。
拒絶しようにもその手は虚しく玲央に奪われた。
「オレがそんなに嫌いなら、本気で忘れてみろ」
至近距離であたしを捉えると射抜くような言葉をぶつけてくる。
なんて強引で、どこまで最低なヤツ……。
けど、こんな玲央の瞬きさえも忘れてしまうような真面目な表情を初めて見た。