【完】好きなんだからしょうがないだろ?
「っ、ごめ、んなさい……!」
だからどうか右足を離してもらえないですか……。
繋ぎ合わせるように絞り出した発した声が大袈裟なくらい震えた。
「まさか、そのっ……人がいるとは思わず……」
野生の狼さんとでも申しましょうか?
まるで、狼のような鋭い瞳。
黒くて短めの髪に見え隠れする銀色のピアスが眩しく光る。
あたしは莉子の言葉をふと思い出した。
ーーー“まあ、気を付けて”
さっきの女の子達といい、まさか莉子は、この男の存在を知っていたんじゃ。