【完】好きなんだからしょうがないだろ?
そう願った直後、狼はあたしの手を引いて身体を起こしてくれると、瞳を緩ませて息を漏らした。
「それだな」
冷気を纏った狼が一瞬だけ笑みを見せる。
「は、はぁ。ほんとに、すみませんでした……」
「珍しいな」
「……は、はい?」
「俺に近づく女はアイツ以来だ」
ーーー“アイツ”?
首を傾げるあたしに近づく狼が言葉を投げる。
「麻白っつったか?お前はここで何をしてた?」