恋の温度はプラマイ10度
コンコン。

「父さん。入ります。」

「あぁ。」

渋い声だなー。

「父さん。今日は、紹介したい人が。」

「ど、どうも。晴馬奈央です。零斗とはお付き合いさせて頂いています。」

「零斗。」

ゴクッ

「可愛いじゃないか!なんで早く言ってくれないんだ!アメリカからなんてすぐ帰ってきたのに!俺の名前は廉也。奈央ちゃん。可愛いな!あれか?紗世さんの娘さんか?」

「はい。父さんは何故紗世さんを?」

「俺の初恋だ。」

「えぇ!あっ、すいません。」

「それがなー。俺の親友に取られて悲しんでる時に慰めてくれたのが母さんでな。」

「親友がお父さん。」

「君が生まれる前に死んでしまったがな。時々、仕送りさせてもらっているよ。」

「あ、ありがとうございます。」

「それで?今日は、どうして家に?」

「それは俺から。今日は、1年の記念日だからですよ。正真正銘、俺の女になるんだ。」

「おめでとう。奈央ちゃん。零斗。あっ、結婚式はどうする?零斗も結婚できる歳だ。明日。また話そう!」

「はい。失礼します。」


ペコッと頭を下げて廊下に出た。

「緊張したー。」

「父さん。茶番が好きなんだよ。じゃあリビング行くか。」

「うん!」

お母さんも来て、廉也さんも来た。それで昔の話や、私達の結婚話で盛り上がった。

「じゃあ母さん。行くよ。」

「避妊はちゃんとするのよ。」

「そうだぞ。零斗。まだ学生だからな。二十歳を越えればいいんだが。」

「奈央も無理しちゃ駄目よ。初めては痛いけどその後すごいんだから。」

「ちょ、お母さん。変な事言わないで!廉也さんも真生さんも!」

「いいじゃない。ね真生さん。」

「そうよ。じゃあごゆっくりー。」

もう、お母さんたら。というか、零斗いないね。

ガチャ

「あっ、やっと来たのか。シャワー浴びれば?」

やっぱりいつもの零斗だ。

「じゃあ浴びるよ。」

「待ってるよ。」

久し振りに見た。優しい笑顔。

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