今日も僕らはアカツキで生きる。
「俺をここまで追い詰めたのは冬也(トウヤだ」
何も言葉が出ない俺はただ呆然とベランダに立つ理(サトシ)を眺めているだけだ。
数時間前に「放課後、話があるから理科室に来てくれ」と理に言われた。
そして理科室に来た時にはすでに理はベランダの手すりを掴みながら俺に振り返ったんだ。
少しの時間が過ぎた今でも強い風の音しか聞こえないここには重い空気が流れている。
やっと理が口にした言葉。
(確かにその通りだ)
けれど俺には口を開くすら資格がない。
吹き付けてくるカーテンを手で避けて、理の行動を背けずにこの目に焼き付けた。
ードゥハッッッ
ベランダにゆっくりと足を運んで、その下の光景を目に叩きつけた。
何も驚きはしなかった。だってそれは想像できていたから。
アスファルトに染み渡るどす黒い色の血。頭から流れ出すそれの証拠だ。
そんな現実が目に突きつけられても、涙一粒すら流れてこなかった。
俺はこの時、知った。
いいや、本当はずっと前から。
俺は正常ではないんだ。