Bitter love
いつものように大勢の女子を率いて教室に入ってくる。
一瞬、目が合ったように感じたがすぐに逸らされた気がした。


その行動に胸がキリッと音を立てる。


付き合ってると言ってもそういう言葉の繋がりがあるだけで、別にお互いが心から"好き"という感情をもってる訳じゃない。

慰めて欲しい時に慰めて、苦しい時に抱きしめて、たまにデートする。
「付き合っている」という言葉の繋がりを持っているだけなのだ。

それでも、理緒とは一応幼馴染みだったりする。
おはようの一言くらい、あってもいいはずだ。


『沙那、顔怖いよ』

『ごめん…』


胸がキリキリと音をたてて五月蝿かった。
女子は変わらずキャーキャーと騒いでいるし、理緒は変わらずスマホの画面を見ているだけだった。

ここ数年、理緒との距離が離れた事に、少しずつ苛立ちを覚えていた。
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