この物語になんて名前をつけよっか?
「だから言ってるでしょ?あたし男って嫌いなの。どうせあたしのこと外見しか見てないくせに。あんたみたいなのも正直無理だから」
このみどりの言葉からわかるように彼女は男嫌いであった。だが中学が一緒だった末吉にもその原因とやらは心当たりがなかったから恐らく中学前に何かがあった模様であった。普通に話すのは平気だが、好意を向けられたり必要にべたべたされるのを嫌った。そんな少女の言葉を聞いては明音はうつむいたまま顔をあげなくなる。明音の胸にはおそらくみどりの言葉が深く突き刺さっているのだろう。
「本当にやめてよ、あきらめるっていったじゃない?高校は違うだろうからって、だからあきらめるって言ったじゃない。なに?もしかしてついてきたの?それはそれで引くんだけど…」
違う、と明音は口に出せなかった。実際追いかけてきたわけではなく、明音はみどりの進学先を知らないまま高校を選んだ。テストの時も一緒に行くどころか校内で顔を合わせることもなく、お互い知らない事実であった。実際入学式にみどりを見つけた明音は思わずクラス名簿にてみどりの名前を探した。きっと似ている人だろうと思いながら探すと名簿に緑の名前をみつけた。だから本当に追いかけてきたわけではない。
実際あきらめようといったのにまたズルズルとひきづって、またみどりに告白をした。もう諦めないとという感情は明音の中にもちろんあったのだ。だけれど、姿を見たら抑えきれなくなった。今更ながら何をしているんだうと明音は思う。