今日から魔王はじめます!
『いいえ、ここは東大島の最北端の港、“旅人岬”です』


「えっ、獣王領じゃないの?」


『やはり、魔族の土地へ入ると、無駄に騒がれますからね。


やはり騒乱よりは静寂の方が好ましい』



さ、さいですか…。


さすが古代幻獣・不死鳥(フェニックス)、プライドがお高いようで。



「で、でも…ここが東大島の最北端なら、どうやってスレイブヤードに行けばいいの?」


『ここは、元々人間の土地ですから…私には土地勘はあまりありませんが、そうですね。


この港町は小さく、また、大きな道は一本道ですから…南へまっすぐ行けば獣王領に行けるでしょう』


「わ、わかった!」



南へまっすぐ、南へまっすぐ…と、何度も反芻する私を見て、


不死鳥が少し笑った…ような気がした。



『やはり貴女を魔王として認めたのは間違いではなかったようです』


「え?」


『まだまだ未熟ですが…貴女こそ魔族の女王に相応しい』



唐突でまっすぐな賞賛に、戸惑う。


そして黒い炎を纏う不死鳥は言った。



『争いを止めたいのなら、歴史を知ると良いでしょう。


それが私からの助言です、陛下』
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