今日から魔王はじめます!
今、思えば。


中立区域であるはずの旅人岬の港町に、活気がないことから、気づくべきだったのではなかろうか。



「貴様の労働はまだ未定だ!決まるまでしばらくの間そこに入っていろ!」


「わっ!!」



乱暴に背中を押され、私は土の上に倒れ込む。


そしてガチャン!!という音に思わず振り向くと、


既に鉄格子が下ろされた後だった。



色付き眼鏡が地面に落ちて、あわてて目を閉じる。そして反射的にかつらを押さえた。


黒髪、黒目を見られてはいけない!



「あぁぁぁ…」



なんてことだ……こんなとこやだよぉぉー…。


一ノ瀬愛美、人生初の牢屋生活です。


しかも、地下!地下監獄!!



暗いし、埃っぽいし…。


まさか中世みたいに拷問とかされないでしょうね!


嫌だぁ…。
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