今日から魔王はじめます!
失礼して…と、スマホの光を美少年の顔に当てる。


ところどころ怪我をしている。


鎖がついた手錠に繋がれた手は、擦りむけた跡があって痛々しい。


ひどい……。



「ん……」



不意に、美少年が身じろぎした。


長い金色のまつ毛がかすかに震え、まぶたが開く。


うわ、と私は再び息を呑んだ。


彼の開いた瞳は、見事な瑠璃色だった。 


……そう、まさにその色は、王族の持つに相応しい、高貴なるロイヤル・ブルー……。



「…光…看守か?」



美しいテナーの声が私の耳に届く。


溢れ出る威厳に、私は声が出せないまま後ずさってしまった。


まさか、この人…本当に、王子?



聖ミスリル統一王国第一王子……勇者なの?
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